SHOW MUST GO ON
4/1、会社で倒れて病院に運ばれた。病状は、冠動脈攣縮性狭心症。夏にかかった病気が再発した、というか治療が充分でなく、押さえきれていなかった。ちゃんと薬を飲んでいたのだが、それが足りていなかった。
たかが失神だから帰らしてください、と医者に言ったら、「目を覚ましたから失神なんで、目を覚まさなかったら突然死なんだよ・・・」とさとされて、そのまま入院した。いい医者に当たったのかもしれないと今では思う。
最初の3日間集中治療室にいた。つらくてつらくてたまらなかった。病状はそれほど酷かったわけではないが、一般病棟のベッドが空いていないのだった。花見シーズンだからなのか、運ばれてくる患者の数が半端でないのだ。しょうがないので集中治療室の隅っこで、コードに繋がれ、点滴をつけたまま、薬漬けになって過ごした。次々と運ばれてくる患者。心臓が止まったまま担ぎこまれる。バシュ、という音がカーテンの向こうでして、「だめだ!」と短く叫ぶ声がする。
物陰で男たちが話す。「直接霊安室でなく自宅へ運びたいとおっしゃっているのですが・・・」というような会話が、普通に飛び交う。
頭がおかしくなりそうだった。
一般病棟に移ったのは土曜日。
朝方退院した人が、また運び込まれる。
夜中に眠れずに歩いていると、泣きはらした顔の身重の女性が、待合室で待っていた。
それでも医者は諦めない。
何故だろう。
何故あきらめないで向かっていけるのだろう。
おれなら逃げ出したい。
おれなら逃げ出す。絶対投げ出す。
重い。ここはあまりにも重過ぎる。
陽光の下で看護婦さんをからかっていた若い患者は、
夜中布団の中で嗚咽していた。
薬が効いて、発作を押さえられることがわかったので、今朝、無事、退院した。
ここにいられることがなんて幸せなのかと思うよ。
どこでも行けるんだ。
どこでも行けるんだぜ。
悲観せず、楽観せず、絶望せず、油断せず、
生きられるところまで行きますよ。
見ててくださいね。